文学理論27。 [読書メモ]
(ジョナサン・カラー『文学理論』荒木映子・富山太佳夫訳、岩波書店、2003)
- 「文学はつねにアイデンティティをめぐる問題にかかわりをもってきたし、文学作品は、陰に陽に、そうした問題に対して答を用意している。とくに物語文学は、登場人物が自身を定義し、かつ定義される
- →アイデンティティ=自らについて自らが下す定義、なのだろうか。であるとしてもそれは、性的・社会的・言語的に下される、いわば「外」からの判断・裁定とのかかわりの下になされるものであろう。しかし、ここでの例を借用するなら、そのような「自己」定義においてもジェンダーによる差異が見られる。オデュッセウスの生はいわば「社会的に」決定される(ように見える)のに対し、エンマのそれはあくまでも自己内部で完結した、「社会的に」追認されるような類のものではない(ように見える)からだ。それゆえ、アイデンティティ、自己形成の問題において、ジェンダー/性差はもはや避けては通れない観点となっている。
2009-07-14 18:11
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